翻 译 宇 海
まえがき:専利侵害判断は、各国が直面している司法上の難題である。多くの問題を巡って、認識上において、国際的に一致に近い整合性が形成されていなかった。実務上の処理方法においても各国で異なる点が多い。中国の法院での専利審理の歴史は、他国に比べてそれほど長くない。従って、専利侵害紛争解決案に関するこの意見公募はあくまで草稿であり、その中の多くの問題と内容は、これからの研究と探求に期する。ここでこの専利紛争解決案を公表したのは、内外各界の修正意見を広範囲に求めるためである。透明度を増し、努力してさらに科学的で完全な修正案を作成することは、中国の専利裁判に受益されるよう努めるのである。
専利侵害紛争事件を正確に審理するために、「中華人民共和国専利法(以下、専利法と略称)」、「中華人民共和国民事訴訟法」、「中華人民共和国行政訴訟法」等の法律の規定に基づいて、以下のように規定する。
一.関連用語と概念についての解釈 第1条 (製品専利と方法専利)
製品専利とは、権利請求が特定の物、例えば物品、物質、材料、工具、装置、設備等を対象とする専利を指す。また製品の発明特許と実用新案専利が含まれる。
方法専利とは、権利請求が時間過程の要素を有する活動、例えば製造方法、使用方法、通信方法、処理方法、既知の製品の新しい用途及び製品を特定の用途に用いる方法等を対象とする発明特許のことを指す。
専利の主題の名称と権利請求の内容が一致しない場合、権利請求の内容によって、製品専利に属するか、方法専利に属するか、さらに製造方法の専利に属するかを確定すべきである。
第2条 (専利製品、意匠専利製品、専利方法)
専利製品とは、専利権で保護された製品、即ち一つの発明特許又は実用新案専利のある権利請求に記載された全ての技術的特徴を備えた製品及び意匠専利製品のことを指す。
意匠専利製品とは、ある工業的方法で生産された製品で、その意匠と専利を得た意匠と同一又は近似し、且つその製品と専利が授権された時に、図面又は写真に示された意匠製品と同一又は類似することを指す。
専利方法とは、方法専利を有する権利請求に記載されている技術的特徴のある方法を指す。 第3条(重複専利、同一の発明創造)
重複専利とは、二つ又は二つ以上の同じ主題の発明創造で、権利請求書に記載された技術的特徴が基本的に同じであるが、或いは同じ又は相似する製品にある同じ又は類似する意匠で、別々に出願して、しかもそれぞれ専利権を得たものを指す。但し、同一出願人が同一の発明創造で発明特許、実用新案専利を両方出願したものはこの限りではない。重複専利の中では、後願で得た専利が専利権者によって放棄又は無効宣告されても、先願で得た専利の効力には影響及ばないものとする。
専利法第9条及び専利法実施細則第13条第1項でいう同一の発明創造とは、二つの専利出願又は二つの専利で保護が求められている発明創造が同じものを指し、中では、同一の発明又は実用新案及び同一の意匠も含まれる。
同一の発明又は実用新案とは、それらの技術分野、解決すべき技術的課題と技術案が実質的に同じであり、しかも予期される効果も同じものを指す。同一の発明又は実用新案に属するかの判断には、二つの発明又は実用新案の権利請求書の内容を比較しなければならないし、また明細書及び図面を権利請求の解釈に用いられることができる。専利法第22条第2項で規定されている「同一の発明又は実用新案」と、専利法第29条で規定されている「同じ主題」の発明、又は実用新案とは、同じ概念である。
同一の意匠とは、同じ又は類似の製品において同一又は類似する意匠を指す。同一意匠に属するか否かを判断するには、二つの意匠専利出願、又は意匠専利の図面或は写真に示された当当該意匠専利製品に準するべきものとする。 第4条 (従属専利と基本専利)
従属専利は改良専利とも称し、一つの後願の発明、又は実用新案が先願の別の専利に対する改良で、先願の専利の技術案を採用すると共に、新しい技術内容を添えたことによって、専利法に規定された授与条件に合致したもので、専利権を得たものを指す。当当該先願の専利を基本専利と称する。
後願の専利は、先願の製品専利を基礎に新しい技術的特徴を添えたもの、又は先願の製品専利或は方法専利を基礎に新しい用途を発見した場合、従属専利に属する。
第5条 (公知技術と公知設計) 公知技術とは、発明又は実用新案の専利出願日前に国内外の出版物に公表され、国内で公然と使用又はその他の方式で公衆に知られている技術を指す。既に公開された専利抵触出願は、本規定でいう公知技術に属する。 前項で言う抵触出願とは、専利法第22条第2項の規定に基づいて、同一の発明、又は実用新案は後願専利の出願日の前に、既に他者によって国務院専利行政部門に提出された出願で、且つ出願日以降に公開された専利出願書類に記載されていた場合、当当該先願は後願に対して抵触出願と言う。先願が公告前に取り下げられて、又は取り下げと見なされ、或は拒絶されると見なされる場合、後願の抵触出願と見なさない。 公知設計とは、意匠の出願日前に国内外の出版物に公表されたもの、又は国内で公開に使用される同じ又は類似製品に使われる同じ又は類似した意匠のことを指す。 第6条(技術案と技術的特徴) 技術案とは、技術的問題を解決するために採用される自然法則を利用した技術的特徴の集合体を指す。 技術的特徴とは、技術案における技術的問題を解決する技術的効果を生じる技術部品(要素)、或は技術部品(要素)の集合体を指す。即ち技術的内容を有する具体的特徴を備え、具体的構造の特徴と方法のステップ等を含む。製品の技術的特徴には、製品の部材と部材間との組合せ関係が含まれる;方法の技術的特徴には、ステップ、ステップとステップの間の関係及び条件が含まれる。
第7条(必要な技術的特徴と付加的技術的特徴) 必要な技術的特徴とは、発明又は実用新案が自らの技術問題の解決において、欠如できない技術的特徴を指す。その総体は発明、又は実用新案の技術案を十分に構成できるので、背景技術で説明される他の技術案と区別され、しかも新規性、創造性を生み出した。通常、技術的特徴は専利の独立請求項に記載されるものである。 付加的技術的特徴とは、引用される発明又は実用新案技術案の技術的特徴をさらに限定する技術的特徴、又は追加される技術的特徴のことを指す。通常、専利の従属請求項に記載される。
第8条 (意匠の要素と意匠の要部) 意匠の要素は、製品の形状、図案、色彩である。 意匠の要部とは、意匠専利における創作者の独創的な美感に富む主要設計部分であり、専利を得た意匠の設計要点を体現した製品の外観部分を指す。意匠の要部については、製品の使用状態、先願とした同一又は類似製品の意匠の状況、美感等を総合的に図る上で確定することができる。 第9条(専利授権と維持手続) 専利授権手続とは、国務院専利行政部門が専利出願を受理、審査し、専利権を付与すべきか否かを決定する専利審査手続であり、また専利復審委員会が、国務院専利行政部門の出願取下げの決定に対する不服を持つ専利出願人の提起した再審査請求に対して、行われる専利再審手続及びそれに関連する行政訴訟手続のことを指す。 専利維持手続とは、専利権が授与された後、如何なる者によって提出された専利権無効宣告請求に対して、専利復審委員会から行なう無効審査手続及びそれに関連される行政訴訟手続を指す。また、旧専利法に基づいて行った取消し手続、異議再審手続、及び取消し手続に関連する再審手続、行政訴訟手続等も含まれる。
第10条 (所属分野の技術者) 所属分野における技術者は当当該分野の普通の技術者とも言われ、一種の仮想の人間を指すのである。その者は、ある特定の日の前に、特定の発明、又は実用新案の属する技術分野における普通の技術知識を熟知しており、当当該分野での全ての従来技術及び当当該特定日の前までの常規の実験を行える手段と能力を有する。但し、創造能力は備えていない。 意匠の場合、所属分野の技術者とは所属する分野の普通の専門デザイナーを指す。 第11条 (その他の専門用語について) 本規定で言う被疑侵害製品には、被疑侵害製品及び被疑侵害方法が含まれる。 特別に意味指定がない限り、本規定で言う権利者とは、専利権者及び専利侵害事件で原告として、他者の専利侵害の構成を訴える利害関係人を指す。 特別に意味指定がない限り、本規定で言う専利申請日には全ての優先権日が含まれる。本規定で解釈されていないが、専利侵害事件の審理において使われるその他の専門用語については、国務院専利行政部門が公表している「審査指針」の関連規定を参考できる。
二、発明・実用新案専利の侵害判断
(一)発明・実用新案専利の保護範囲の確定
第12条 (釈明用文書について) 人民法院は、発明又は実用新案専利の保護範囲を確定する際、国務院専利行政部門が最終的に公告した専利権利請求書文書、或は既に発効した再審決定、無効決定、取消し決定で確定された専利権利請求書文書を用いられ、更にそれに準ずるべきである。
第13条 (解釈対象、独立権利請求項) 人民法院は、発明又は実用新案専利の侵害事件を審理する際、通常、ただ独立権利請求項だけに対する解釈を行い、それによって専利の保護範囲を確定する。 発明特許に2項目、又は2項目以上の独立権利請求項がある場合、人民法院は、権利者が専利侵害訴訟要求を提起する根拠とした独立権利請求項のみについて解釈を行い、またそれによって当当該訴訟での専利保護範囲を確定する。 第14条 (解釈対象、従属権利請求項)
発明又は実用新案の専利権が有効であることを前提に、権利者が専利の従属権利請求項に基づいて保護範囲の確定を求めた場合、人民法院は、それを認めた上で、当当該従属権利請求項及びそれが従属する独立権利請求項及び引用される先願の全部権利請求項における全ての技術的特徴を包括して、それによって、保護が請求されている専利の権利範囲について解釈する。 専利維持手続における専利権の部分無効宣告の審査決定で、従属権利請求項に従って専利権の有効を維持された場合、関連従属権利請求項とそれに引用される全ての先願権利請求項を包括するものは、新しい専利の独立権利請求項として取り扱う。 一審の証拠提出期限が満了する前に、権利者が自らの権利主張根拠とした権利請求を変更する場合、人民法院はそれを認めなければならない。権利者が従属権利請求項に基づいて権利を主張したが、但し人民法院において発効される判決文書の支持を得られなくなって、その他今回の審理根拠になっていなかった権利請求項に基づいて別途提訴した場合、人民法院はそれを認めなければならない。
第15条 (解釈範囲、総合的技術案) 人民法院が、発明又は実用新案専利の権利侵害を判定する際、専利の独立権利請求項に記載されている全ての技術的特徴で定義される技術内容を、一つ総合的技術案として取り扱うべきである。説明書前序文の部分に記載されている発明又は実用新案の主題に最も近い従来技術と共有する必要な技術的特徴は、また特徴部分に記載され、最も近い従来技術と異なって区別されする技術的特徴とを包括することによって、発明又は実用新案の独立権利請求項の保護範囲を限定する。共有の技術的特徴と区別の技術的特徴は、専利の保護範囲を限定することに付き、同一効果があるものとする。 第16条 (権利請求の折衷解釈原則)
人民法院は、専利法第56条第1項の規定によって専利の権利請求を解釈する場合、専利の保護範囲を、権利請求の文言の意味で厳格に限定されると解釈し、また明細書及び図面が権利請求の不明瞭な部分のみを解釈することに用いることはできない;また同様に、権利請求が、発明の一つの全体的な核心だけを確定し、指針のみの役割を有し、従って、保護範囲を、所属分野の技術者が明細書及び図面を読んで理解する範囲、つまり専利権者が望む保護範囲まで拡張されるように解釈することもできない。人民法院は、前記二つ極端な解釈から見て、中立的立場から出発すべき、出した権利請求についての解釈はただ専利権者に公平な保護を提供することだけではなく、更に公衆に合理的な法的安定性を与えることも確保できる。
第17条 (明細書と添付図面の役割)
専利の明細書及び添付図面を、必要な技術的特徴と同一の特徴を専利の保護範囲に属すると解釈するのに用いることができれば、または権利請求に記載される技術的特徴の曖昧さを明確にするのに用いることもできる。更に従来技術を専利の保護範囲から除外し、専利権者の反言を禁止するのにも用いることができる。 権利請求書で提起される上位概念が明細書においてただ一部の下位の具体的概念の支持のみを得ている場合、明細書で提起された具体的概念と、所属分野の技術者が権利請求書及び明細書、添付図面から創造的労働なしに連想できる具体的概念で、当当該上位概念を解釈しなければならない。 明細書の実施例は権利請求の解釈には使用できるが、専利権の保護範囲を確定する根拠としてはできない。 明細書及び添付図面だけに表記され、権利請求書に記載されていない技術的特徴又は技術案は、権利請求を解釈する際に、専利の保護範囲に入れてはならない。 専利の権利請求書に記載される技術内容が、明細書で描かれ、又は具体的に表現されるものと、同一でない或は完全に同一でない場合、権利請求書に記載される内容に準ずるべきである。
第18条 (実施例、添付図面及び要約)
専利の保護範囲は、明細書に開示された発明、又は実用新案を実施する最善の具体的実施方式及びその中の実施例からの制限を受けない。但し、当該当具体的実施方式及び実施例は、権利請求を解釈するのに用いることができる。実施例は発明又は実用新案の最善の具体的実施方式に関する例に基づいた説明である。 専利の権利請求に添付図面の符号を引用している場合、添付図面で表されている具体的構造は、専利の権利請求の技術的特徴を限定するのに用いることはできない。 専利の明細書の要約は、権利請求の解釈に用いることができず、また専利権の保護範囲を確定する根拠にすることもできない。 第19条 (技術的特徴の解釈に従属権利請求を使用)
専利の従属権利請求は、独立権利請求に記載された技術的特徴の曖昧さを明確にするのに用いることができる。但し、従属権利請求に記載されている付加の技術的特徴を用いて専利の保護範囲を限定してはいけない。
第20条 (権利請求の解釈に専利包袋の使用)
専利明細書及び添付図面以外のその他関連の専利書類は、権利請求解釈の参考書類にすることができる。 前項でいう専利包袋には、専利授与及び維持手続で形成されたすべての中間書類が含まれる。
第21条 (開放式権利請求の解釈) 専利法実施細則第22条第2項の規定によって、組合物の専利発明の権利請求は開放式又は半開放式の定義表現方式を採用して、但し、明細書に権利請求で記載された要素以外の要素を説明していない場合、人民法院は、閉鎖式の定義方式で表現された権利請求として取り扱って、保護が求められている要素組合体に対する解釈が下記通りにする:ただ権利請求に記載された要素だけによって組成され、別の要素がない。しかし、通常の含有量で存在する不純物を含むことができる。 前項でいう開放式とは、権利請求に記載されていない要素を、要素組合体から排除しないことを指す。閉鎖式とは、ただ権利請求に指定された組成要素のみが含まれて、その他の組成要素は全て要素組合体から排除することを指す。半開放式とは、要素組合体から、権利請求に指定された要素の基本的特性、又は新しい特性に実質的影響を与えない未指定の組成要素を排除しないことを指す。 第22条 (機能、効果特徴の解釈) 専利の権利請求に機能又は効果で限定された技術的特徴がある場合、人民法院は、明細書での当該特徴に関する具体的説明に基づいて、当当該分野の技術者が権利請求書と明細書を読んで理解し、創造的な労働なくても速やかに連想できる実施方式に限って、保護範囲を合理的に確定しなければならない。 明細書では技術案を実施するただ一つの具体的な実施方式のみを説明した場合、当該機能又は効果で限定された特徴は、ただ前記具体的実施方式及びそれに同一の代替例のみを覆うように解釈しなければならない。明細書では技術案を実施する複数の具体的な実施方式を説明し、権利請求書に記載されている機能又は効果的特徴は、正に当該当具体的実施方式と共有する機能又は効果に対する適切な概括である場合、当該機能又は効果的特徴を、当該機能又は効果を実現できる全ての実施方式を覆うように解釈しなければならない。
第23条 (技術専門用語と概念の解釈) 専利の権利請求で提起される技術専門用語及び概念を解釈する場合、明細書と添付図面とを主な根拠としなければならない。明細書の背景技術、発明の目的、技術案、有益な効果に関する説明と、実施例が含まれる具体的実施方式とを、技術専門用語及び概念の特定的意味を解釈するのに同じく役立つ。出願人は既に文字又はその他の明示的な方式で排除又は放棄した意味を除外しなければならない。 出願人は自ら作った技術概念に対しては、明細書でその概念に与えた特定の意味に従って、所属分野の技術者が権利請求書、明細書、添付図面を読んでから、明確に理解できる意味とを結び合わせて解釈すべきである。 明細書、添付図面を直接に通して、具体的に解釈できない技術専門用語及び概念については、所属分野の技術者が理解した通常の意味で解釈しなければならない。技術専門用語及び概念に対する二つ又は二つ以上の解釈がある場合、字典、百科全書、技術辞典、及び既に公表されている論文の解釈を、所属分野の技術者が理解される通常の意味と見なす。複数の通常の意味がある場合、専利の包袋記録と結び付けて、当当該専利の発明創造の主題と関係している全ての通常の意味を採択する。 前項の方式を採用しても、関係専門用語及び概念の意味を依然として確定できない場合、専門家証人の証言等を参考にして解釈する。
第24条(誤字と印刷ミスの訂正) 専利の権利請求書、明細書、添付図面における所属分野の技術者に識別可能な、明らかな文法上の誤り、文字、記号の誤り及びタイプミスに対しては、修正解釈しなければならない。しかしこのような修正解釈は、所属分野の技術者が権利請求書、明細書、添付図面を総合分析して得られる唯一の正確な解答でなければならない。 専利の授権、維持手続で作成された書類は、専利書類の印刷の誤りを訂正するのに用いることができる。専利書類の印刷の誤りが、専利の保護範囲の確定に影響を与える場合、関係ファイルの原始書類に準するべきである。
第25条(同一原則)
専利法第56条第1項でいう:「発明、或は実用新案専利の保護範囲はその権利請求の内容に準する。明細書及び添付図面は権利請求を解釈するのに用いられる」とは、専利保護範囲は、権利請求書に明確に記載される必要な技術的特徴で確定された範囲に、また当該必要な技術的特徴と同一の特徴で確定された範囲にも含めて、準すべきであることを指す。
同一特徴とは同一物とも称するが、専利の必要な技術的特徴と比べ、基本的に同一の手段で、基本的に同一の機能を実現し、基本的な効果を達成することを指し、また、所属分野の技術者は侵害が発生される際(専利申請日前、或は専利公開日)、専利権利請求書、明細書と添付図面の閲覧によって、創造的労働なしに連想できる特徴をも意味している。基本的に同一の手段とは、製品部材の簡単的な位置移動、方法とステップの順序の簡単的な変換、及び専利の必要な技術特徴に対する簡単的な置換え、分解、合併などを指す。
被疑侵害製品は、専利と基本的に同一の技術的構想を持ち、基本的に同一的手段を用いて、専利のある一部の必要な技術的特徴を置換えることによって、その技術案は、機能的で、効果的に前記専利の技術案より劣れ、または優れることになった場合、人民法院は、被疑侵害製品が対応の専利の必要な技術的特徴と同一の特徴を採用したことを認定しなければならない。しかし、被疑侵害製品の技術案は意外な技術効果を生み出した場合除外とする。
専利の必要な技術的特徴と被疑侵害製品の技術的特徴とは各々対応されていない、或は各々対応されても同じものではなかった際、これに対して、人民法院が、同一の技術的特徴であると判定するか否かのは、権利人(一審の証拠提出期限満了の前に)が明確的な請求の提出を前提条件にすること。(もう一つの方案:権利人の請求を同一判定の前提条件にせず、ただ技術的特徴だけが異なるとすれば、人民法院が同一判定を行なうべきである)。対比したら、もし被疑侵害製品の一つ、或は複数個の技術的特徴は対応専利の必要な技術的特徴との同一の特徴を構成すれば、人民法院は、同一原則に従って、被疑侵害製品が(当該当専利の)権利保護範囲に入って、専利侵害を構成したことを判定しなければならない。
人民法院は、ただ被疑侵害製品の具体な技術的特徴と対応専利の必要な技術的特徴との同一性のみについて対比と判定を行い、被疑侵害製品と専利技術案との整体的な同一性について対比と判定を行なわないとする。
第26条(同一ではない、また同一と看做さない技術的特徴について)
被疑侵害製品に使われる対応専利の必要な技術的特徴と対応し、でも同一ではない技術的特徴が意外的な技術効果を生み出した場合、或は所属分野の技術者にとっては、当該特徴が専利申請日(侵害発生日)において、創造的な労働で構想できる特徴であるとすれば、人民法院は、被疑侵害製品の技術的特徴と対応専利の必要な技術的特徴との間には、同一ではない、また同一と看做さないことを判定しなければならない。
専利の必要な技術的特徴の変換特徴は、所属分野の技術者にとっては、専利申請日において、
明確的なものであるので、もし申請人がそれらの変換特徴を意識的に権利請求書に書き込まれなかった場合、また侵害訴訟において権利人が同一原則に基づいて前記変換特徴を同一特徴として認定すべきであると主張された場合、人民法院はそれを支持できない。
第27条(同一判定の付加素因)
人民法院は技術的特徴について同一判定を行う際、開拓性を持つ発明に対して、当該専利の必要な技術的特徴との同一特徴を適宜に広く解釈することがである。組合発明、選択発明、転用発明、用途発明などに対して、適宜に狭く解釈するようにできる。また、実用新案に対して、狭く解釈するのは一般的である。
被疑侵害者が専利申請日以降、発明特許申請公開日まで、或は実用新案専利の公告授権日まで独自に研究開発及び完成した技術を実施した場合、人民法院は専利の必要な技術的特徴の同一特徴を適宜に厳しく解釈することができる。
第28条(要素と含有量で技術特徴の同一性を限定することについて)
組合せ要素と含有量両方で限定する化合物と組合せ物の発明特許に対して、人民法院はまず被疑侵害製品の要素と専利要素との同一、或は類似を判定しなければならない。要素では、一種、或は複数種が同一ではなく、或は類似でもなかった場合、その被疑侵害製品は専利保護範囲を侵害しなかったことを認定すべきである。その要素が同一、或は類似になった場合、その含有量範囲を引き続き対比すること。
権利請求では、組合せ要素の含有量範囲についての上限と/或は下限を設けた場合、しかも被疑侵害製品の含有量が当該当含有量範囲に入らなかった場合、人民法院は一般的には同一特徴として認定してはいけない。
第29条(機能で限定する技術的特徴の同一について)
機能で限定する専利の必要な技術的特徴の場合、被疑侵害製品に対応する技術的特徴の実施方式がただ同様な機能のみを実現した時、人民法院は、被疑侵害製品が専利の必要な技術的特徴の同一特徴を採用したと認定しなければならない。被疑侵害製品に対応する技術的特徴の実施方式は同一機能を実現する他、別の付加機能の実現もできる。しかし、技術案全体に実質的な影響を与えなかった場合、被疑侵害製品が専利の必要な技術的特徴の同一特徴を採用したと認定しなければならない。付加機能によって整体としての技術案から新しい実質的な効果を生み出すことに至った場合、被疑侵害製品が同一も、類似もない技術的特徴を採用したと認定しなければならない。
専利権利請求書にはある技術的特徴の機能を限定し、且つ説明書にもその発明にとって、当該当機能の重要性を重ねて言明した場合、人民法院は、当該当機能を具備しない技術的特徴を専利の必要な技術的特徴の同一特徴として解釈してはいけない。
第30条(禁反言原則)
専利申請人と専利権利者は専利の授権と/或は専利維持手続きにおいて、専利法の要求を満足する為、書面上の声明、或は記録されていた陳述を通して、発明、或は実用新案専利権利請求の保護範囲について書いた如何なる放棄、制限、修正、承諾は、専利侵害訴訟における反言を禁じられ、また人民法院は、それらを専利保護範囲に属するように解釈してはいけない。
被疑侵害者が禁反言原則の適用を請求したい場合、一審証拠提出期限満了までに明確的にその請求を提出すべき、また責任を負って、証拠を提出することによって証明しなければならない。(別の案:本項規定を定めない)
第31条(同一原則と禁反言原則の適用順序について)
技術的特徴について弁論の際、原告が同一原則に従って被告の専利権侵害を主張し、しかし被告が禁反言原則に従って専利権侵害なしと主張した場合、人民法院は、禁反言原則を優先的に適用しなければならない。
先行技術の回避によって、自分の権利要求に新規性と創造性を具備させる為、専利申請人と専利権利者は専利許可、或は専利維持手続きにおける関連技術的特徴に対して修正、或は制限的な陳述を行なわれた後、当該当技術的特徴に対する同一特徴の解釈は通常しない。(別の案:専利許可、或は専利維持手続きにおける修正された技術的特徴に対して、禁反言原則を適用した後、権利人は依然として留保の技術的特徴に対して、同一原則を適用するように出張できる)。権利請求の修正は先行技術から公表される内容に触れず、また専利の新規性と創造性とは関係ない場合、禁反言原則を適用した後、権利人は、依然として同一原則を適用し、権利請求を合理の範囲まで解釈するように請求できる。
第32条(余分の指定原則について)
人民法院は発明特許の独立権利請求の解釈と専利保護範囲の確定を行なう際、余分の指定原則を適用できる。従って、明らかに分かってきた専利申請人の手落ちで独立権利請求に記載されるはっきりとした付加の技術的特徴、即ち余分の特徴を省略し、ただ独立権利請求の必要な技術的特徴だけで専利保護範囲を確定する。
余分の指定原則が適用されるかどうかは、権利人が、一審証拠提出期限満了までに明確的にその請求を提出し、また責任を負って、証拠を提出することで証明することを前提とする。(別の案:本項規定を定めない)
一審を下った法院は余分の指定原則に従って専利保護範囲を確定し、当事人が判決に対して不服申入れをしなかった場合、再審の際、通常、再審確定をしないとする。(別の案:本項規定を定めない)
(傾向性の意見:専利侵害訴訟における明確的に余分の指定原則を適用することは適宜ではないので、当該当条項は参考のみとする。)
第33条(余分の指定原則で付加の技術的特徴の条件の認定について)
人民法院は余分の指定原則に従って、付加技術的特徴を判定する際、少なくとも下記条件を同時に揃えなくではならない。
(1)独立権利要求に記載される特徴部分;
(2)専利の独立権利要求に当該当技術的特徴が省略されたが、依然として、発明特許に要求される新規性と創造性を具備する;
(3)独立権利要求に記述される技術案において当該当技術的特徴が省略されたが、しかし依然として完璧的な技術案であるので、発明目的の実現と発明効果の達成ができる。
(4)その分野の一般技術者の見方によって、明らかに分かってきた専利申請人の手落ちで当該当技術的特徴を独立権利請求に書き入れたが、また、それを必要な技術的特徴と看做す場合、明らかに不公平な結果を導くことになる;
(5)専利法の要求を満足する為、専利授権と/或は維持の手続きにおける当該当技術的特徴に対して如何なる修正は行なわれなかった。
第34条(余分の指定原則で付加の技術的特徴の方法の認定について)
人民法院は余分の指定原則に従って、ある技術的特徴が付加技術的特徴に属するかとかを判定する際、説明書及び図面に記載される当該当技術的特徴が発明目的の実現、技術問題の解決における機能及び引き起こした技術的効果と、また専利授権と/或は維持の手続きにおける専利権利者及び専利処理機関より下した当該当技術的特徴に関する陳述と判断とを量って、総合分析を行なわれた上で判定しなければならない。
ただ専利の独立権利請求だけに記載され、説明書においてその機能、作用について説明しなかった技術的特徴は、付加の技術的特徴として認定できない。
被疑侵害製品は独立権利請求に記載される技術的特徴の欠如と省略によって、技術的効果において明らかに専利技術に劣る場合、その欠如と省略があった技術的特徴は付加の技術的特徴として認定されてはいけない。
第35条(非実用新案の技術的特徴を見落としてはならない)
実用新案専利の独立権利請求には、非実用新案の技術的特徴が含まれた場合、専利侵害判決において、当該当技術的特徴が専利の必要な技術的特徴として看做すべき、見落としてはいけない。
前項でいう非実用新案の技術的特徴は、実用新案専利の独立権利請求に記載される製品の形状、構造、及びその結合など実用新案の専利技術案を構成できる技術的特徴に属しないものを指す。例え製品の用途、製造技術、使用方法、材料要素及び含有量に関する技術的特徴。
(二) 発明、実用新案専利侵害の判定方法
第36条(全面包括原則)
被疑侵害製品は専利の必要な技術的特徴、或はそれらの必要な技術的特徴と同一の技術的特徴の全部を再現した場合、即ち被疑侵害製品は専利の全部の必要な技術的特徴各々対応して同一、或は同一と見なす技術的特徴を含む際、人民法院は当該当被疑侵害製品が専利保護範囲に落ちることによって、専利侵害を構成したと判定しなければならない。
第37条(技術的特徴の分解と確定)
人民法院は専利侵害技術の対比判定を行なう際、まず権利請求書の記載に従って専利の必要な技術的特徴を分解と確定すべき、そして、被疑侵害製品の技術的特徴に対して分解を行った上で、専利の必要な技術的特徴との対応の技術的特徴を確定する。
技術的特徴を分解する際、権利請求項の文字表現書式を参照しながら、整体としての技術案において相対的な独立性を持ち、特定の技術的機能が実現でき、しかも技術効果を生み出すもできる技術方法を区別し、技術的特徴にすること。
先行技術の関連技術的特徴の省略によって専利権を手に入れた専利に対して、その必要な技術的特徴を確定する際、省略された関連技術的特徴自体を一種の必要な技術的特徴として見なすべきである。
第38条(技術的特徴の対比)
人民法院は専利侵害の技術対比判定を行なう際、専利権利請求項に記載された技術案における全部の必要な技術的特徴と被疑侵害製品の全部の技術的特徴とは1つ1つ対応してから比較しなければならない。
人民法院は、権利人の専利製品と被疑侵害製品との間に技術的特徴の比較ができない。しかし、権利人の専利製品は技術的特徴と技術案の理解に用いられることができる。双方の当事者が共に専利権を持つ場合、一般的に、権利人の専利製品、または被疑侵害者の専利権利請求項によって比較を行なうことができない。
第39条(下位概念の特徴)
専利の必要な技術的特徴と比べてみて、被疑侵害製品が下位概念の採用によってその対応の技術的特徴を定義した場合、人民法院は被疑侵害製品の当該当技術的特徴と専利の必要な技術的特徴とは一致することを認定しなければならない。
第40条(技術的特徴の増加)
被疑侵害製品が、専利の必要な技術的特徴を、それらの技術的特徴と同一のも含めて再現した上で、更に新たな技術的特徴を増加した場合、人民法院はその技術的な効果とは関係せずに、被疑侵害製品が専利保護範囲に入り、専利侵害を構成したと認定しなければならない。 |